『近鉄球団、かく戦えり。』
『近鉄球団、かく戦えり。』という本が発売されたと聞き、早速購入。エアコン全開にして、徹夜で読んだ。
著者の浜田昭八氏は、パ党の方なら「日刊スポーツのコラムでよく阪急ブレーブスを語っている人」といえば、ご存じの方も多いのではないかと思う。この本は、長年にわたりパリーグを見つめてきた記者の視点から、ドラマの数は日本一だった近鉄球団とパリーグの歴史を紡いだものである。
1950年セ・パ2リーグ分立以来、唯一日本一になれなかった球団、近鉄。しかし、球史に残るドラマの数は日本一? 「実力のパ」と言われた時代に、西鉄、阪急、南海などの強豪に果敢に挑んだ。この愛すべきパ・リーグ球団を長年見つめてきたベテラン記者が、消滅までの半世紀を、他球団も含めた選手・監督の人間味あふれるエピソードを紡いで回顧する。<裏表紙のコメントより引用>
パリーグを見てきた著者だからこそ書けるパリーグの歴史には大いに読み応えがある。特に、西鉄ライオンズが黄金期から一気に消滅まで転げ落ちた過程とその背景、西鉄を追われ新生・西武ライオンズの誕生によってライオンズ史から消された人々の行方、その受け皿が「人間臭さ」を唯一無二のチームカラーであった近鉄バファローズだったこと、世にはびこる嘘満載のセリーグ史観でも贔屓の引き倒しとなりがちなバファローズ史観でもなくパリーグ史観を起点として近鉄バファローズを考証するにはうってつけの一冊だと思う。
しかし、一通り読み終えて、正直、いち近鉄ファンである私には、思わず首をかしげたくなるような記述もあった。度々登場する「実力のパ」という表現。そもそも「実力のパ」という言葉はセリーグが作った差別語であって、これを連呼されることはパリーグファンにとっては一種の屈辱だ。パリーグを見続けた記者であるからこそ、その真実に触れる程度の配慮はほしかったところだ。
しかも、パリーグの歴史上の汚点である数々の矛盾を一貫して自己批判的な視野も交えて書き留める形で進められていた記述が、一連の合併騒動については一転して腰砕けになっている。本の締めくくりでは、近鉄球団への惜別より合併球団へのエールに重きが置かれていたりして、今なお近鉄バファローズやオリックスブルーウェーブという球団への愛着を捨てきれず「まがいもの同然の合併球団オリックスバファローズなど応援できぬわ」という人々にとっては、傷口に針を刺されたところで終わる、まとまりのつかない本だという印象を禁じ得なかったのも事実だ。
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プロローグ「近鉄なくなりました」
第1章 最弱軍団、かく戦えり
半世紀前にも消滅の危機
勝率2割3分8厘 デリケートな猛牛 注入された巨人の血 ピストル打線の主砲 他 第2章 わがバッパロー
「日本一になるまで」
幻のひとり立ちプラン 季節はめぐる 「野球のためにアリガトウ」 “マイホーム”藤井寺 第3章 「実力のパ」の歯ぎしり
消された西鉄
V9に沈んだ猛者たち 長嶋人気は不滅です カネやんダンス 寂しき勇者 他 第4章 猛牛が角を向けた時
レッドdeハッスル
巨人はロッテより・・・・・ 江夏の14球? 10・19 川崎の長い1日 5位の舞い 第5章 どうなる「頑張ろう大阪・神戸連合」
「頑張ろう神戸」
“ストなし労組”のスト決行 闘志より投資 “拡大強化”と“おらがチーム” そして、だれも・・・・・ 他 |
日本経済新聞社 |
「野武士軍団」とうたわれた西鉄ライオンズ。西鉄球団は死したが、死せず彷徨った野武士の魂は時を経て近鉄バファローズに乗り移り、「パリーグのお荷物」と笑い者にされていた近鉄球団を「いてまえ軍団」へと生まれ変わらせた。その近鉄球団も、今は影も形もなくなり、人々はまた散り散りとなった。でも、希望がないわけじゃない。近鉄が西鉄の遺伝子によって活性化されたように、いつの日か近鉄の狂牛病ウィルスがどこかの球団を覚醒に導くかもしれない。
巨人に蹴られた千葉茂、大毎に蹴られた西本幸雄、西鉄に蹴られた仰木彬、近鉄バファローズの歴史の深淵は「お家再興」だった。次は近鉄に蹴られた梨田昌孝の番である。がんばれ梨田!















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