岩田康誠騎手、中央競馬騎手免許試験に合格!
我らが園田競馬場の岩田康誠騎手が中央競馬の騎手免許試験に合格しました。これで来月から晴れて中央競馬の騎手となります。
まぁ、正直なところ、園田競馬のファンとしては複雑な思いがしないわけではありません。ただ、岩田康誠のファンとしては心から嬉しく思います。本当におめでとうございます。
競馬には縁もゆかりもなく育った岩田少年は、近所のオッサンに「ジョッキーになったら稼げる」と教えられ、競馬の騎手を志しました。勉強は苦手ですから、競争率の高い中央の競馬学校には入れません。そうなると、地方競馬の騎手です。それさえも、あと2点足りなければ不合格というスレスレ突破。やっとこさ得た地方競馬の騎手免許でした。騎手は馬に乗る仕事です。岩田少年は、結果を出せば出世できると思っていました。
園田競馬に所属し、「マルコメくん」のニックネームをもらいます。新人にもかかわらず、先行するベテラン騎手に臆することなく競りかけてしまい、睨まれたことがあります。普通の若手なら平謝りするところですが、岩田は違いました。「だって、ボク、勝ちたいもん」。涙を浮かべてそう言った岩田騎手。勝負師の世界は結果が全て。岩田康誠は天性にして勝負師の資質を十分すぎるほど備えていました。
「中央の大舞台で乗りたい」。騎手なら誰でも一度は夢みることでしょう。実力のある騎手ならなおさらです。しかし岩田騎手の前に立ちはだかったのは騎手免許。地方競馬の騎手免許で中央競馬の競走に出走するには、大きな制限があります。前哨戦に勝っても本番には乗れない…、こんなことはザラにありました。騎手の世界は、岩田少年が思っていたような、実力だけでのし上がれる世界ではなかったのです。
よく競馬は「馬七分・人三分」と言われます。一流騎手になれば「馬六分・人四分」になるかもしれませんが、どれだけ秀でた技量を持った騎手でも、自分の腕だけで勝利を掴むことはできません。競馬の主役は、あくまで馬なのです。
園田にサラブレッドが導入され、岩田騎手が初めて中央競馬に遠征した日。彼が乗った園田の馬は、中央の馬の流れに乗ることすらできず大敗を喫しました。そうです、競馬は馬の競走なのです。騎手の能力だけではどうにもならないことがあるのです。
岩田騎手が中央競馬の騎手になるためには、中央競馬で年間20勝以上のノルマをクリアしなければなりませんでした。中央競馬で20勝を挙げるには、園田の認定競走に勝って権利を取った馬を中央競馬に連れていく必要があります。毎週のように中央へ討って出るため、他の騎手が掴んだ認定切符を譲ってもらうこともしばしばです。
昨年夏、所属厩舎の人手が足りなくなり、岩田騎手は厩舎の雑用を手伝いました。馬房の馬糞を流し、寝藁を敷き、本馬場の調教に連れ出し、引き運動に付き合い、水洗い・ブラシがけするリーディングジョッキー。しかし、彼は一流の騎手、ただ闇雲に作業していたのではありませんでした。「馬を作る勉強ができた」と言います。
園田から中央へ遠征する馬のほとんどは大敗を喫して帰ってきます。しかし、中央の一日免許をもらうため“参加賞狙い”の遠征をしていたわけではありません。岩田騎手は、中央へ遠征する馬、一頭一頭の調教に乗り、付きっきりの特訓を施してから遠征していたのです。馬主・調教師が岩田騎手の遠征に理解を示したのも、他の騎手が快く切符を譲ることができたのも、すべては岩田騎手の謙虚さの賜物なのです。
競馬は、人の力だけは成り立ちませんが、人の力なくしても成り立ちません。ただでさえ足を取られる深い砂の園田競馬場。園田の所属馬は、中央の所属馬と比較して、決して質のいい馬とはいえません。動かない馬を動かして積み上げた3000勝。園田にいたからこそ学べたことが、たくさんあるはずです。
思う存分に暴れてください。活躍することが恩返しです。岩田康誠を育てた園田競馬に「日本一の騎手を輩出した競馬場」と胸をはらせて下さい。地方競馬で通算3000以上の勝ち星を挙げ、いま中央競馬た羽ばたこうとしている岩田康誠騎手。多くの人々が、岩田康誠を下支えしてきました。どうかいつまでも感謝の気持ちを忘れないでほしいと願います。














コメント
こんにちは。中央で暴れまくる男が自分と同じ歳だと知り、一層彼に注目し、「いちばん好きな騎手は?」という問いには迷わず彼の名前を挙げます。彼のことをもっと知りたいと思っていたので、今日の記事はとても有益でした。ありがとうございました。
また春に園田を訪れる予定です。岩田無き園田の新たな魅力をこれから伝えていただければと思います。
投稿者: 船長
| 2006年2月16日 19:31
>船長さん
同世代の人間が頑張っているのをみると、「もっと頑張れよ、俺!」という気持ちになりますね (^^;
岩田はいなくなりますが、川原のオッチャンが来ましたし、有馬のオッサンもそこそこ仕事しますし、田中学は進境著しく、小牧毅や永島も自覚が芽生え、大山や吉村といった若手も一皮むけるんじゃないかと、結構前向きに考えています。
小牧、赤木、岩田の3人が中央で活躍することは、園田の騎手にとって大きな励みになると確信しています。
投稿者: なにわっち
| 2006年2月16日 23:04