WSJS地方競馬代表騎手選定競走(2006)の実施概要が決まる
「WSJS」とは、毎年12月にJRA阪神競馬場で開催される「ワールドスーパージョッキーズシリーズ」の略で、中央競馬の東西リーディングジョッキーなど5名に、海外から招待される世界のトップジョッキー8名と、地方競馬の代表騎手1名を加えた14名が、4競走の着順ごとに与えられるポイントの合計を競う「騎手の祭典」です。
地方競馬代表騎手は1988年の第2回から毎回1名づつ招待されています。2004年までは、各主催者から推薦された騎手を地全協(NAR)が選定していました。ただ、騎手の実力を会議室で決定するというのは不可能に近い作業なので、選出回数は南関東8回、園田5回、笠松2回、佐賀1回、盛岡1回といった具合で、実際のところは主催者の力関係がそのまま反映されていました。
はっきり申し上げまして、地方競馬の歴戦のリーディングジョッキーたちは、誰が乗り込んでいってもJRAの連中と互角の戦いができます。せっかく地方競馬の「代表」として殴り込みをかけるのですから、地方競馬ファンのみんなが納得できる方法で決め、みんなが素直に応援できる騎手を選ぶべきです。「WSJS地方競馬代表騎手選定競走」はこうして誕生しました。もちろん、ファンの関心を喚起する競走の創設によって、競馬場の売り上げに貢献してもらえないかという淡い欲望があったのも確かです。
昨年、はじめての代表選定競走は、我らが園田競馬場で開催され、岩田康誠騎手がブッチギリの予選突破。自身初、兵庫県所属騎手としては田中道夫騎手(2回)、小牧太騎手(3回)に次ぐ3人目のWSJS出場となりました。
地方競馬史上最速のペースで勝ち鞍を量産してきた岩田騎手でしたが、所属厩舎の格差で小牧騎手の勝ち鞍を上回ることはなかなかできず、彼が園田代表として推薦されるようになったのは、小牧騎手がJRAに移籍したあとのことでした。創設された代表選定競走は「園田の岩田」がWSJSに出場できる最初で最後のチャンスでもありました。
岩田騎手は本番でも大活躍し、海外・中央の歴戦の名騎手を退け、見事な総合優勝。地方競馬招待騎手としては石崎隆之(船橋)、川原正一(笠松)、鮫島克也(佐賀)に次ぐ4人目、兵庫県所属騎手としては1989年に田中道夫騎手が記録した2位を上回る、記録的な総合優勝を果たしました。既にJRA移籍が「ほぼ内定」と伝えられていた岩田騎手。地方所属騎手として、最後の最後で成し遂げた大偉業でした。
ただ、実際にやってみると、色々と問題が生じたのも確かです。まず、騎乗馬選定の問題です。昨年の代表選定競走は合計2レースの合計ポイントで争ったのですが、地元から出場した岩田康誠騎手が2着、1着で1位、田中学騎手が1着、3着で2位となったことで、他地区のファンから少なからず疑問の声が挙がりました。騎手の名誉のために書いておきますが、騎手からそういった声は公には聞こえていません。あくまでファンサイドから出た疑義です。
一応、各騎手の騎乗馬は抽選で決めたことになっています。無論、兵庫県競馬組合が不正を行ったとは信じがたく、またその証拠もないため、適当なことは言えません。園田競馬場に対する各騎手の慣れ・不慣れの差も少なからずあったと思います。馬券を買う立場の我々でも、若干は考慮に入っているはずの事柄です。地元騎手は、出走(騎乗)予定の各馬を事前に追い切ることができたというメリットは否定しません。しかし、他地区から参戦する騎手は、おのおの地元の日程の合間を縫って、1日休んで園田まで来ています。事前の追い切りに騎乗してもらうことは現実的には不可能です。
抽選会を公開して行ったり、騎乗馬の質の差が出にくい下級条件馬を使うようにするなど、配慮すべき点がいくつかあることはたしかですが、回数を重ねてみないと答えの出ないことではないかと思います。
次に、園田競馬場のフルゲートは12頭ということです。つまり、代表選定競走に参加できるのは最大で12名までということです。地方競馬主催者は、おおまかにブロック分けしただけでも北海道、東北、南関東、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州と9つにのぼり、南関東には大井、船橋、川崎、浦和、東海には名古屋、笠松、九州には佐賀、荒尾といった具合で、園田競馬場には全国のリーディングジョッキーをまんべんなく呼集できるキャパシティがないのです。幸いにも出場を辞退した騎手(主催者)があったため、招待10名と兵庫2名の12名で施行することができましたが、今後に向けて課題が残されたのは事実でした。
仮に園田以外の競馬場でやるにしても、可能なのは走路の広い盛岡か大井くらいです。この企画もJBCのように、東日本ブロックに食い上げられる運命なのでしょうか。と、そんなことを憂いていたところ、今年の代表選定競走の概要が今日発表されました。
選定競走が昨年の1場2競走から、2場4競走になりました。まず盛岡競馬場で14名の騎手が「第1ステージ」の2競走(シルバースパー賞・シルバーホイップ賞)を争い、その上位12名が園田競馬場で行われる「第2ステージ」の2競走(シルバーサドル賞・シルバーブーツ賞)に進出できます。第2ステージ終了時点で累積ポイントの最も多い騎手がWSJSに出場します。
とりあえず昨年のような「いちぬけた」は事実上不可能になりました。盛岡の騎手が園田に遠征したり、園田の騎手が盛岡に遠征したりすることは少ないので、「ホーム」のメリットは半減されます。他場所属騎手の慣れ・不慣れの差も少し緩和されます。これはこれで、第1ステージで貧乏クジを引いてしまうと前半の成績だけで足切りされてしまうわけですが、馬に恵まれる・恵まれないは「運も実力のうち」と目をつむりましょう。
一点だけ納得がいかないのは、南関東は4場から4人が出場できるようになったという点です。南関東4競馬場が地方競馬場の中で最も質の高い競走を行っているのは事実ですが、これは騎手の代表を選ぶものです。代表選定が主催者間の力関係を反映したものになってしまうのでは以前の談合方式に逆戻り、選定競走の存在意義が薄れてしまうことにもつながりかねません。
南関東4競馬場は、それぞれの開催がバッティングしないように4場で通年1単位の日程を組んでいるのですから、競走施行数が他の競馬場での施行数に比べて多いわけではありません。1場あたりの施行数は園田競馬の半分以下です。これが4場それぞれの所属騎手のトップが出られるでもいうなら浦和のジョッキーにもチャンスが巡ることになるわけですが、4場で4人という選び方では、大井や船橋の2番手以下の騎手が出てくることになり、他場との不公平感が否めません。一括で選ぶなら大目に見ても3人、常識にかかるなら2人とすべきでしょう。
浮かせた枠は「推薦枠」として、地元では2位に甘んじているが成績は限りなく1位と拮抗している騎手、当該年度に顕著な資質向上が見られた若手の騎手、騎乗数は減っているが大レースでは類い希なる勝負強さの光るベテラン騎手などに門戸を開いてほしいところです。
元々、地区のリーディングジョッキーであったのに、競馬場の経営難や廃止などにより他場への移籍を強いられ苦戦している騎手は、新潟の向山牧騎手、中津の有馬澄男騎手、高知の北野真弘騎手など決して少なくありません。内田利雄騎手のような「フリーの名騎手」に至っては、その道筋すら用意されていないのが現実です。
まだ、場所と日時と出場資格が決まっただけで、ポイントをどう割り付けるかといったことや、どういった条件の競走を組むのかといった具体的なことは決まっていません。もし可能であれば、ぜひ盛岡では芝コースを使って競走してほしいと思います。
騎手という存在は、地方競馬の持ちうる最高の財産です。これを余すことなく活用すべきです。WSJS代表選定にとどまらず、場間交流の枠を超えた「騎手対抗戦」の企画を全国で持ち回れないものでしょうか。まず、地方の枠組みの中にある壁を取り払わない限り、中央競馬との騎手免許の一本化など実現できるはずがないのですから。
かなり似た御意見のブログがありましたので、末筆ながらリンクしておきます。












