フェラーリのニューマシン Ferrari F2007

最近のF1新車発表会は実に味気ない。イベント自体は仰々しく華やかにバブリーでも、出てくるマシンが露骨に偽物なので萎えてしまう。前年型の空力パーツで偽装してくるチームはまだ愛敬がある。近頃は、明らかに展示用のダミーパーツといえるものを作って、それを取り付けてくる。

ディーラーとかモーターショーで展示されているF1マシンも同様。ハナからレースにもテストにも使わない「展示バージョン」を作って、カラーリングだけ本物といっしょにして、あちこちを回る。「F1、展示してるよ」と聞いて、カメラ持って出かけても、詳しい人は一目見ただけで「偽物」と分かってしまうので、好奇心をくすぐられる前に失望感に押し潰される。

全部見せろといっても無理なのは分かっている。でも、本物のF1を見せてほしい。本物には、本物にしかない輝きがある。繕ったところで偽物は偽物だ。偽物だと気付かずに騙される人の方が多いのだとしても、偽物と本物は全く違うものだ。


ここ数年、フェラーリの新車を見るたびに驚かされるのは、リアエンドの絞り込み。展示車のエンジンやギヤボックスはダミーだけど、リアエンドの造形までダミーで誤魔化してきた前例はないので、「本物」が見られる数少ないポイントの一つだ。しかし、今のところ、後ろからの写真がないのでなんとも言えない。エンジン開発の凍結、ギヤボックスの開発も小型化の技術は既に完成の域にあって、変速のタイムラグ解消の方に力点が移っている今年は、さほど驚きに値するような処理は期待していなかったりするんだけど、そこは天下のフェラーリ、何かを期待してしまう。

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あと、フェラーリといえば、フロントの空力処理がオードドックスすぎる、というか前時代的。今年は、全車ブリヂストンになることもあり、新車ではフロントサスペンションを含むノーズ下エリアの空力処理にメス入れてきたはずと踏んでいる。フロントのノーズもウイングもバージボードもダミーなんだけど、モノコックはダミーじゃないから、ここもなかなかダミーでは誤魔化せない場所だ。しかし、画像では影がかかっていてよく見えない。また黒のラッカー吹いたりして、わざと写りにくいようにしてるんだろうなぁ。とりあえずゼロキールっぽいけど、空気をどう流しているかが肝要であって、キールの有無や数はどうでもいい。

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発表された新車を見ても、論じるところがなくてはつまんないので、カラーリングの話でも…。

フェラーリといえば赤、赤といえばフェラーリなんだけど、実はフェラーリのF1マシンが赤一色で染め抜かれていたのは、F1黎明期のごく短い期間に限られる。とりわけリアウイングは、アッセンブリーが丸ごとアルミ地のまま銀色に輝いていたり、カーボンファイバーの時代になってからも漆黒に白く“GoodYear”のロゴが貼られていたり、ここ数年は白の翼面に黒く“Marlboro”のロゴが浮かび上がっていたり、赤ではない部分が赤を際だたせるアクセントの役目を果たしていた。

それが、新車ではリアウイングまで真っ赤になった。当初は2008年まで容認されるはずだったタバコ広告の規制が、嫌煙団体の圧力なのかどういうわけか2年以上前倒しになって、ついにF1マシンからタバコのロゴが消え、フェラーリから“Marlboro”のロゴが消えた。ただ、フィリップモリス社は、“Marlboro”のロゴが掲示できなくなったあとも、マシンのカラーをCIである蛍光レッドとすることで資金供与を続ける意向を示しており、ニューマシンが文字通り赤一色に染め抜かれたのは、この契約によるものと思われる。

プラモデルやミニカーの趣味がある人なら、赤は赤でも、フェラーリの赤は色々あることを知っているはずだ。ナショナルカラー時代の赤。黄みがかった赤の時代もあった。テレビ映りを考慮して、やや深みのある赤が用いられた時代もあった。私はこの赤が好きだった。ここ数年は、スポンサーの意向を汲んで、どんどん蛍光色化が進んだ。モデルカー用に塗料を調合すると、赤というよりオレンジかという錯覚さえある。正直、新しい蛍光赤一色のフェラーリに馴染むには、しばらく時間がかかりそうである

ところで、少し角度を変えて見ると、F1マシンに、塗料の技術進化を見ることができる。グリッドには、蛍光色どころか、金属メッキしたようなピカピカに輝くマシンも見られる。鏡面反射する特殊な塗料を使っている。かつての限界はメタリックカラーだった。それさえも10年前、ジョーダンがゴールドメタリックに塗装されたマシンを走らせたが、塗料で車重が増加してしまうという難点があり、すぐ黄色に塗装しなおされた。それから数年後、ジャガーレーシングがメタリックグリーンのカラーリングで参戦してくるが、このとき重量は全く問題にならなかった。

F1は、ライバルより1000分の1でも速く走るため、ただそれだけのために十億単位の金を湯水のように使う世界。ネジ1本、ナット1個まで徹底して軽量化する。塗料も例外ではない。塗料が軽くなれば、マシンはわずかに速くなる。また、鮮やかなカラーリングで人目を引けば、広告媒体としての価値が高まる。

ダミーパーツの濫発で見所が少なくなる一途の新車発表会だが、この際、偽物は偽物と割り切って、カラーリングだけをひたすらチェックしてみるのも面白いかもしれない。

カラーリングといえば、F1界には、誰が言い出したか知らないが、有名なジンクスがある。「黄色いマシンはチャンピオンになれない」のだ。黄という色自体、基調色というよりは強調色として使われることが多い色なので、黄色を基調としたマシンは少ない。最近では、キャメルカラーのロータス、ベンソンズカラーのジョーダン、参戦初年度のフォルティコルセくらいである。他に探せば、“イエロー・ティー・ポット”と呼ばれた旧ルノーワークス、黒と黄色のハーフトーンだったATS、黄というより緑の印象があるキャメルカラーのベネトンだろうか。

これら黄色のチャレンジャーは、いずれもチャンピオンには手が届かないまま消えていった。今年は、マイルドセブンのスポンサードが終了したルノーが、より黄色いカラーリングで走ると予想されている。果たしてジンクスは破られるだろうか。

90年代半ば、グリッドに並んだマシンの半分が青色だったことがある。しかし、今では、紺色を使うマシンはあっても、青色を基調としたカラーリングのマシンは無い。その「青の時代」にはグリッド上にフェラーリしか存在しなかった赤を使うマシンが増えてきた。また、白をベースにすると「貧乏くさいイメージ」が付きまとうのは、古くからF1村の定番である。白地のマシンはスマートだが、涼しさを通り越した寒さがある。白は使う色のないチームの色という認識で一致している。

人が着物で個性をアピールするように、F1マシンはカラーリングで個性をアピールする。チームの事情、スポンサーの意向、ありとあらゆる思惑を投影したものとしてみると奥が深い。開幕戦のスターティンググリッド、今年はどんなパレットが見られるかワクワクする今日この頃である。


最後に、本題とは少しかけ離れるが、F1のみならず、モーターレーシングの飛躍的な発展において、タバコマネーが果たしてきた役割はとてつもなく大きいものであったことを記しておく。タバコマネーなくして、F1グランプリの今日の隆盛はありえなかったといってもよい。

世界的に嫌煙の風潮が強くなり、喫煙者の人権が侵害される恐怖の時代に入って久しいが、タバコ広告と喫煙の関連性を客観的に証明するデータや統計は一つも無い。喫煙者は広告の有無に関わらずタバコを嗜好する。私は、禁煙してもう3年になるが、フェラーリのマシンを見たからタバコを吸いたくなるなんてことは一度もなかった。飲酒運転で死者が出たからと、酒の広告を禁止しても意味がないのと同じである。むしろ、キチガイのごとくタバコを忌み嫌う潔癖性のアホを目にすると、コイツの顔面に向かって思いっきり煙をブッ放してやりたい衝動に駆られる。

ロードバクシン、有終の美へ! ~ 兵庫県知事賞典 第49回 新春賞 | メイン | 2008年のJBCは園田競馬場で開催!

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