さらばロードバクシン…
かつては「アラブのメッカ」と呼ばれた園田競馬場。その名の通りアングロアラブの日本一を決める舞台として、根幹競走がサラブレッド系によって行われる中央競馬とは全く異なる“もう1つの競馬"で名を馳せてきた。
しかし、時代は移り変わり、ついに園田もサラブレッドを導入。主要競走がサラ系に開放され、アラブは混走を余儀なくされた。中にはサンバコールやワシュウジョージのように混合戦で意地を見せるアラブもいたが、全体としてみるとアラブの劣勢は答えを確かめるまでもなく明らかだった。わずかに残されたアラブ限定競走も順次廃止され、それに伴い新規入厩馬はほぼ全てサラ系馬になっていった。
アラブの時代、園田の頂点は全国の頂点だった。だが、サラブレッドを導入した途端、園田の競馬は“もう1つの競馬”ではなくなった。サラブレッドの競馬は、比較の対象となる相手が、これまでとまったく違う。サラブレッドが導入された園田競馬では、JRA認定競走、指定交流競走、ダートグレードレースが始まった。理論上は、園田競馬から東京競馬場のGⅠレースが一本の線で結ばれた。
しかし、現実は、アラブ相手なら優位の園田のサラブレッドも、さしもの中央競馬のサラブレッドが相手となると、劣勢は否めない。園田のサラブレッドは、中央に行きそびれた馬、中央から落ちぶれてきた馬、はっきりいって駄馬揃いだ。園田競馬は、アラ系競走を廃止した他の競馬場と同じく、“もう1つの競馬”の頂点から、中央競馬を取り巻く“マイナーリーグ”への転落を余儀なくされた。
今でもなお、アラブの時代を懐かしむファンの声は少なくない。競馬の楽しみの一つに、血統がある。その昔、園田で頂点を極めたアラブの名馬は、種牡馬になり、その仔馬が全国の地方競馬場を走った。しかし、サラブレッドとなれば話は別、園田で頂点を極めても種牡馬になることは難しい。現実、いま園田で走るサラブレッドの父親は、園田と縁もゆかりもない馬ばかりである。二軍化した園田競馬に一意的な趣向を持ってもらおうとすること自体に無理があるという論調に、頷くところは多い。
だが、失ったものばかりではない。得たものがある。可能性も決してないわけではない。サラブレッド2世代目に現れたロードバクシンという馬は、それを強く認識させてくれた。
大外から差し切ったロードバクシン。この感動は、アラブの時代にはなかった新しい感動である。この感動をもう一度。そして、もっと大きな感動を求める。ロードバクシンに続き、いやロードバクシンを超える馬が現れる日を待ちわびる。ロードバクシンは、時代の転換期に現れ、新しい時代の最初の目標となった。それは、日本の競馬という大局から見ればたかだかGⅢ1勝の馬に過ぎないけれど、園田競馬にとっては一つの時代を拓いた名馬なのである。
明日のレースを最後に引退するロードバクシンは、この春から北海道で種牡馬として繋養される予定だ。決して楽観的な見通しは立てるべきではないが、きっと3年後、園田の頂点を極めた名馬の仔は、園田に帰ってくると信じている。サラブレッド時代の園田にも、ほんのちょっとロマンがあることを教えてくれるロードバクシンは、やっぱり永遠に語り継がれる名馬なのである。
ロードバクシン 1998年4月6日 門別・高橋牧場生産
父 サクラバクシンオー 母 ツイストアンドシャウト 母の父 サクラユタカオー
通算 61戦32勝 (32-11-5-7-3-3) 収得賞金 1億6978万0000円
重賞12勝(兵庫県歴代1位タイ) : 2000 園田ジュニアカップ, 2001 園田ダービー, 2001 兵庫チャンピオンシップ(統一GⅢ), 2001 菊水賞, 2002 六甲盃, 2002 姫山菊花賞, 2004 楠賞, 2004 園田金盃, 2005 兵庫大賞典, 2006 新春賞, 2006 兵庫大賞典, 2006 楠賞
- ※ 上記データは2007年02月13日現在のもの ※ -
以下、明日の園田競馬をざっと大まかに展望…。
ゴールデンジョッキーカップ (第7R,第8R,第10R)
出馬表を眺めたところ、2騎の有力馬を引き当てた武豊がシリーズ優勝候補の筆頭かと思われ。アンチ武としては、“追えないユタカ”のドボンで高笑いを目論みたいところだ。せいぜい「わからない」とほざきやがれ、この銭ゲバ野郎めッ!
3鞍目のA級戦は馬の力量差がはっきりしているので、誰が乗っても大きな波乱は起きにくい。馬の個体差が少なく騎手の力量が問われるのは下級条件の1鞍目、2鞍目。駆け引きが激しくなればなるほどますます差し優勢なんだけど、この競馬場は仕掛けどころが2コーナーの中、坂を上りながら加速して、坂を下りながら4コーナー回るという特殊な競馬場。ある程度、コース経験・コース実績のある騎手を重視した方がいい。
昨年の短期騎乗でコツ掴んでそうなミスターピンク・内田利雄が、面白い馬を引き当てている。地元の川原、他地区では鮫パパ、山竜あたりに注目したい。「賞金泥棒」の異名を取る武も、捉えようによっちゃ、実績は侮れんね。去年は、馬体重600キロのジョーキャプテンをしっかり追って動かしたし。
サンテレビ賞 (第9R)
ロードバクシンの引退競走。枠順を見て笑いが止まらなかった貴方は立派な園田ファン。これが噂の、曽和センセの「パワーポリティクス」か。
それにつけても、下手な重賞より揃ったメンバー構成。ラストランとはいえ、これは簡単には勝てそうにない。かつての主戦とはいえ、JRA移籍後初、同馬には久々の騎乗となる小牧太が、往年の先行力はすっかり失せたロードバクシンをどう乗りこなしてくるだろうか。末強烈なベストタイザンを意識して、早めに動きたいところだが…。
最終競走終了後には引退式がある。何はともあれ、回りのジョッキーは空気嫁、無事に、無事に、無事に最後のレースを走りきってほしい。
あとでちゃんと予想する。












