岩田、涙のウイニングラン
そのままーっ!!!!
ゴール前は大興奮やった。
経済コースから抜け出した岩田のアドマイヤムーンをめぐって、あっと驚く好位付けから粘るペリエのポップロック、外を回ってジリジリと伸びてくる武豊のメイショウサムソン、さらに後ろから切れ味鋭く四位のウオッカが追ってくる。
際どい勝負に、大観衆の競馬場が一瞬静かになった。ターフビジョンに映し出されたリプレーを見た岩田が勝利を確信。左の拳を握り、馬上で吠えた。全ての感情が凝縮された叫び。重圧と呪縛から解き放たれた瞬間の、言葉にならないけれど言葉より濃密なその叫び。
まだまだ、この国の競馬関係者の中には、地方出身というだけで偏見を持つ奴も少なくない。いわれのない陰口を叩く奴もおった。予想の方で書いたんやけど、「府中で勝てない」と囁かれ、それをすんごい気にしてた。
せやけど、味方もおった。園田を飛び出して約1年半。色んな人が岩田を助けてくれた。そして何より、岩田自身が努力した。得られるものは貪欲に、ときには自身のスタイルを崩すことも厭わず、どんな仕事も一生懸命にこなした。アドマイヤムーンとの出会いはその賜物であった。
「府中でウイニングランをしたい」
かつて小牧太の中央移籍が決まったとき、ラジオ番組のゲストとして出演し、こう語っていた。
才能…、努力…、腕のある者が頂点を目指す。中央だろうが地方だろうが騎手は騎手なのだ。ところが、この国の競馬は、その当たり前が通用しない。地方競馬にとっては世界より遠い中央競馬なのである。
小牧の背中を追って中央を目指した岩田。彼は今日、彼なりの筋道で、閉塞されつづけた殻を破ってみせた。

秋の夕焼けのウイニングラン。
かっこよかったなぁ。しびれたなぁ。
馬上の岩田は泣いとった。俺も目頭が熱うなった。
磨けば磨くほど光る原石。岩田康誠はまだまだ未完成だ。













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