極めて不可解な裁決

映像を何回みても納得できないんですよね…。

第1位に入線した5番ロリンザーユーザー号(秋山 真一郎騎手)は、4コーナーで内側に斜行し、4番ヒシアスペン号(池添 謙一騎手)の走行を妨害したため、第12着に降着となりました。なお、秋山 真一郎騎手は7月5日(土)から7月13日(日)まで騎乗停止となりました(開催日4日間)。

一応、お断りしておきますが、馬券は2番手入線のアグネスマクシマムを軸にしていたので、3番人気のロリンザーユーザーが降着になって、4番人気のストームタイガーが繰り上がることになり、配当的には美味しい思いをさせていただきました。外れたからBOOたれてるわけではございません。

テレビアングルの映像と、直線正面からのパトロール映像しか見ていないわけですが、ロリンザーユーザー(秋山)は4コーナーで逃げるヒシアスペン(池添)の外から被せるように回っています。このとき、秋山騎手は左鞭を使っています。しかし、内ラチに一頭分のスペースは残しているように見えなくもありません。コーナーの中では併走状態ですから、前に出て進路を塞いだわけでもありません。むしろ直線入口の映像を見れば、コーナーを回りきれず膨らんだヒシアスペンが、ロリンザーユーザーを外へ弾き飛ばしているようにさえ見えます。曲がりきれず内ラチから外に飛んで出た逃げ馬と、その逃げ馬を外から交わしていった馬、危ないのは明らかに前者です。

違う見方もできます。ヒシアスペンはハナを切って先頭でレースを進めていました。飛ばしてタレてしまったから、後続に追いつかれているのです。もちろん二の足を繰り出すべく溜めていたともいえるわけですが、ヒシアスペンにそんな脚が残っていなかったことは、同馬がロリンザーユーザー2秒6遅れの12番手で入線していることからも明白です。秋山騎手に左鞭を用いた過失があったとして、それが果たして着順を変更する事由とまでなりうるのかという疑問は拭いきれません。

制裁には、事故を防止するという予防・抑止の側面があるにしても、このケースにおいて、ロリンザーユーザーと秋山騎手に降着の裁決を下すのは無理があると言わざるを得ません。

ちなみに、被害馬に騎乗していたのは池添騎手。過去の出来事と今日の出来事をごっちゃに論じるつもりはありませんが、オークスでのトールポピー(池添)の大斜行と、失格馬・降着馬はなし、騎手には騎乗停止2日間という、曖昧かつ不可解な裁定は記憶に新しいところです。JRAからは、池添騎手の御法は危険極まりなかったが、それがレースの着順に影響を与えたとは認められないという、なんとも苦しい弁解が為されました。

オークスの前例を持ち出すまでもなく、今日のレースも同様ではないでしょうか。ロリンザーユーザーがヒシアスペンの進路を妨害しているようにも見えるが、両馬のニアミスがなかったとしても、ヒシアスペンがロリンザーユーザーに先着できたとは考えられないこと。また後続の他馬には何ら影響を与えていないこと。むしろ、ヒシアスペンが外側へ逃避したことの方が、他馬への影響は甚大であったこと。総合的に勘案すれば、着順を変更せず、危険回避を行わなかった騎手に対して相応なペナルティを発動するだけでよかったのではないでしょうか。審議はゴール後に行うのですから、だからこそあらゆる可能性を考慮することができたはずなのです。

オークスのレース後、JRAはマスコミ関係者を集め説明会を行うも紛糾、また馬券を購入したファンからも相当数にのぼる抗議・質問のメールが寄せられたとかで、『走行妨害および制裁について』と題したWebページが制作・公開されました。JRAはファンに一定の裁決基準を示したかったのではないのでしょうか。しかし今日の裁決は、その基準が何なのか、ますます謎を深めるものとしかなりませんでした。邪推が飛び交うのも、ひとえにJRAの説明義務怠慢によるものなのですから。

“そもそも論”に立ち返れば、競馬主催者が審判を兼任しているという状態に問題があります。主催者の意向が審判に反映されているという疑義は根強いものがあります。もちろん、JRAは「だからといって不正はしていない」と言うでしょう。しかし、そこに不正があるかないかは問題ではありません。不正ができることが問題なのです。主催者と審判は、それぞれが独立して事に当たることができるように、枠組みを変えるべきだと思います。

降着という制度は、馬主や調教師にとっては、理に適った便利で公平な制度なのかもしれません。しかし、競馬ファンにとっては極めて理不尽な制度です。予想をし、馬券を購入するにあたって、「馬が斜めに走るかどうか」などと考える人はいないでしょう。考えたところで、馬が斜行するかどうかなんて予想のしようがありません。賞金も手当も元を辿ればファンの投資あってのもの。なのに、ファンが関係者の利害調整の尻ぬぐいをさせられているのでは本末転倒もいいところです。

JRAは、裁決について満足に説明すらできないのであれば馬券を買い戻すべきです。それこそJRAが金科玉条とする「公正」なのではないでしょうか。

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