破顔一笑 ~ “鉄人”バリチェロ、5年ぶりのトップチェッカー

バリチェロのF1デビューは1993年。私がまだクソガキだった頃です。セナがいて、プロストがいて、ベルガーもパトレーゼも、ブランドルもブランデルも、アレジもシューマッハも走っていたあの時代、ブラジルからやってきた新人ドライバーが雨のドニントンでみせた快走劇は、今でも心の奥に鮮やかな記憶として刻み込まれています。

あの一戦で、次世代のチャンピオン候補としてその名を轟かせたバリチェロでしたが、なかなかマシンの戦闘力に恵まれず、要所要所でキラリと光る速さを見せるものの勝利の美酒にはありつけず、なんと初優勝までに8年(デビューから数えて125戦)を要しました。待ちに待った初勝利は、あの日と同じ雨の中を、果敢にもドライタイヤで攻めて掴んだ大逆転勝利でもありました。表彰台で見せる涙でグチャグチャになった笑顔こそ、バリチェロのグランプリレーシングに対する情熱そのものでした。

その後、バリチェロはフェラーリで8勝を挙げますが、立ちはだかるは皇帝の厚い壁。チームオーダーが物議を醸すこともありました。2006年は「優勝請負人」としてホンダへ移籍。初年度こそ30ポイントを記録したものの、2年目からはチームが坂を転げ落ちるように低迷。結局ホンダでのエポックメイキングは、2008年トルコGPで通算出走回数の歴代新記録を更新したことと、大雨のシルバーストンで3位表彰台に立ったことくらいという有り様。

彼が敬愛してやまない同郷の先輩アイルトンセナを叔父に持つブルーノ・セナとの交代も噂される中、その経験を買われて新生ブラウンGPのステアリングを握る2009年。バルセロナ、イスタンブール、ニュルブルクリンク、勝てそうなレースをことごとく逃してしまい、前戦ハンガロリンクでは不可抗力とはいえフェリペ・マッサの事故原因となってしまいました。

マッサのヘルメットカラーリングを“借用”し、いつも以上の特別な気持ちで臨んだであろうバレンシアの一戦。そこで掴んだ5年振りの勝利。涙もろく、しわくちゃの笑顔。歳を取っても、やっぱりバリチェロはバリチェロ。彼が表彰台の頂点に立つと、みんなが笑顔になります。それは、彼が他の誰よりもレースを愛しているからであり、そしてそのことをみんなが感じ取っているからなのです。

鉄人の心はそう簡単に折れるものではありません。さぁ、彼の次の目標は、まだ果たしえぬ夢、地元ブラジルGPでの勝利です。

Rubens Barrichello [01]Rubens Barrichello [02]
Rubens Barrichello [03]Rubens Barrichello [04]
Rubens Barrichello [05]Rubens Barrichello [06]
Rubens Barrichello [07]Rubens Barrichello [08]

図らずも、負傷欠場中のマッサに代わってフェラーリのステアリングを握ることになったルカ・バドエルも、バリチェロと同じ1993年デビューのドライバーです。目まぐるしい発展と進化によって、時代が次々と移り変わるF1の世界だからこそ、時代に抗うが如きベテランドライバーの頑張りには心が躍ります。今回は結果どころか、まともにレースさえさせてもらえなかったバドエルですが、次の2戦はクラシックサーキットに戻ります。「まだまだやれるんだ!」というところを見せてくれないものでしょうか…。


それにつけても酷いのは今宮純という人物だ。

今宮純は、昨年5月、自身のウェブサイトで次のように書いた。

バリチェロのF1最多参戦記録が一部で話題づくりされようとしている。あのリカルド・パトレーゼの“256戦奮戦”振りを見てきたひとりとしては、いま比べられること自体ものすごく残念だ。

私に言わせれば、仮にも「解説者」を名乗る人物が、こうも程度の低いことをのたまうことが残念だ。これだけでも「今宮純はスポーツを語るに値しない人物である」と言い切ることができる。だが、今宮はさらにこう続けるのである。

スペインGP予選中にも16キロ・オーバーのスピード違反をまたやった(信じられない大オーバーだ!)。今年開幕戦からピットで信号無視、速度違反を繰り返していて、日本ならもう“運転免許取り消し”だろう。スペインでもレース中にフィジケラとピットレーンで接触事故を犯し、ノーズを引きずってリタイアに終わった。90年代にジョーダンやスチュアート・チームで健闘していた時代のルーベンスを知る者としては、彼がいま何をF1に求めているのか、さっぱり分からない。現在20戦ノーポイントで年俸10数億円、R・ブラウン氏はホンダ・チームプリンシパルの立場でこの現況をどう勤務評価するのだろうか。

今宮純は、現場で何を見ているのだろうか。

バリチェロがF1に求めていたもの。その答えは、昨日のバリチェロの走りの中にあった。そして表彰台で見せたバリチェロの表情にあった。彼が必死に戦っていることは、レース中の無線交信からも感じられたし、目標をクリアしたときに見せた彼の涙が全てを物語っていた。

だが、今宮純は、レース後福永アナウンサーから「バリチェロの感動的な優勝でしたが…」と話を振られているにもかかわらず、バリチェロの優勝を祝福するコメントをするどころか、バリチェロには一切触れず、「チャンピオンシップは…」「ウェーバーが…」「日本グランプリ前に…」と、聞かれてもいないことで徒に時間を潰して、「また来週」と言い残して逃亡した。

解説者のくせに解説をせず、それどころか川井氏や小倉氏の解説に割り込んで邪魔をし、アナウンサーから話を振られても全く噛み合わない答えを返して、笑って誤魔化す。今宮純は、バリチェロの働きを貶す前に、自分自身を客観的に「勤務評定」するべきである。

ここ2年間だけに限定しても、今宮純は自身のウェブサイトにとどまらず、雑誌等でも、ことあるごとにバリチェロをこき下ろしてきた。たとえば、今年5月には、次のようにのたまっている。

トップに立ったバリチェロは3回作戦のまま、マシン重量を軽めにしたほうがペースが上がることは、前日までの走行データで分かっていたからだ。一発は出せても、ベテランの彼に持続力がない (中略) バリチェロの中盤ペースは上がらなかった。1回余計に入る分のロスタイムを稼げず、終盤はさらにペースが落ちていった。全員同じハードタイヤでは3位ウェバー、4位ベッテル、5位アロンソより遅く、もしも、バトン同様2回作戦に切り替えていたらば、レッドブル勢にしてやられていた可能性もある。レース後、彼はこの作戦に関して“チームオーダー”を臭わせるような感情的発言をした

繰り返すが、今宮純は現場で何を見ているのだろうか。

今宮純という人物が、F1に関して専門知識も実務経験も人脈も何もない“ド素人”であり、かような人物が「F1解説者」としてのさばっていること自体に問題があるということは、ここで何度も述べてきたことであり、同様の批判はネット上にも散見される。「パドックにいても関係者からは相手にされないので、セッション中はコースサイドで日向ぼっこをしている」などという厳しい批判もある。

「F1にしがみついている」とバリチェロをと批判している今宮純こそ、能もないくせに解説者の肩書きにこだわってF1中継に寄生しているのではないか。「天に唾する」という慣用句は、今宮のような人物をさして使うものだ。

極めつけは、ハンガリーGPで起きたマッサの事故に関する以下の記述である。

それにしても、こんな重要パーツが脱落したことをブラウン・チームとベテランのバリチェロは気付いていなかったのだろうか。走行中マシン状態は常にテレメトリーシステムによってピットで“監視”され、ドライバーも急に車高が落ちるなどすれば、すぐに異常を察知できるはずだ(彼ほどのベテランならば)。だから、どこで、何が、どう壊れ、外れたか。即刻競技運営者やコースディレクターに伝えることは不可能ではなかった(いまはチーム側と彼らの間にメール通信回線もあるのだから)。

この今宮の文章に頷く人がいるとすれば、その人はF1のことを何も知らない人だろう。なにしろ事故を「多角的に検証する」などと大袈裟な表題を銘打たれたこのコラムは、単なる事実関係の羅列、オカルト的な妄想、バリチェロへの誹謗中傷の三本立てで、どこを切り取っても「多角的な検証」の体を成していないからだ。

まず、後続のマッサは、バリチェロの通過後、10秒もしないうちに現場に差し掛かっている。バリチェロから無線を入れたとしても、それを受けたチームが状況を把握し、チャーリーに連絡して、さらにレースコントロールが発動されるまで、どう考えても10秒では足りない。今宮は「不可能ではない」というが、どうかんがえても不可能だ。仮に10秒以内にレースコントロールが赤旗を提示できたとしても、マッサが赤旗を認識するまでの時間に加え、フェラーリのピットがマッサに「部品が落ちている」という情報を伝える時間が必要だ。これらを10秒以内に完了せよとは、いつもウダウダと中身もまとまりもない妄言で番組の円滑な進行を妨げている分際で、よくもまぁ言えたもんである。

また、バリチェロのマシンから落下したのは、それがコイルスプリング形状だったことからもわかるように、いわゆる“サードダンパー”のスプリングである。マシンの車高を決めるスプリングには板バネが使われていることは、今じゃ素人にも常識。サードダンパーが壊れても、マシンは通常の走行を続けることはできる。車高が不安定であることを確認した上で、はじめてサードダンパーを疑うのであって、サードダンパーの物理的な状態をテレメトリーで「監視」しているなんてことはありえない。今宮純の脳内では、テレメトリーとは、テレビゲームのように「ピンポーン♪」と故障をお知らせしてくれる便利なシステムということなのだろうか。結局、今宮純という人物は、現場にいるだけで、現場を全く知らない人物だということだけがよく分かった。

加えていうならば、当事者のマッサを含めて、関係者誰一人としてあの事故の責任をバリチェロに押し付けている者はいない。誰もが不幸な事故だと認識しており、再発防止に取り組んでいる。そして、病床のマッサは、バリチェロの優勝に「勇気づけられた」というコメントを出している。今宮純だけが、現場にいながら、一人だけ違う方向を向いているのだ。何をか言わんや。

今宮純が、バリチェロに因縁を付けはじめたきっかけがある。それは2005年のことである。ホンダはバリチェロと契約を結び、佐藤琢磨の解雇を発表した。ここを境に、今宮純は執拗にバリチェロを攻撃しはじめたのである。以後、今宮純と妻の雅子は、あたかも佐藤琢磨の代理人にでもなったかのように振る舞い、今日に至ってもなお、事あるごとに佐藤琢磨の名前を使い、提灯記事で人気取りをしている。今宮純は、自身にジャーナリストや解説者としての器がないくせに、佐藤琢磨の人気に便乗して、その過程でバリチェロをスケープゴートにして、上げ底の権威を仕立て上げることで現在の地位を死守しようとしているのだ。

昨日の中継でも、バリチェロの優勝についてコメントを求められた今宮純は、話を逸らして「日本のファンに嬉しいニュースが…」と、「佐藤琢磨」の固有名詞こそ出さなかったものの、暗にそう匂わす発言をした。場に即したコメントができないとき、今宮は必ずごまかしの手段として「佐藤琢磨」を使う。モナコグランプリでは、レース終盤、フォースインディアについてコメントを求められているのに、突然、スーパーアグリの話をし始めた。妻の著書の宣伝ともとれる表現もあった。こんな小汚い人物が偉そうに「私はF1の専門家です」的な顔でテレビに出演し続け、ファンの落とす小銭を巻き上げてF1をタダ見しているのだから呆れる。

今宮純は、仮初めにも物書きで食っている身分である。ことごとく晒し者にしてきたバリチェロの勝利に際して、潔く筆を折るべきだ。そして、己の身の丈をわきまえ、解説者の職を辞するべきである。はっきりいって、そこに今宮純がいるだけで迷惑なのだ。取材と称して取材の真似事をし、解説と称して解説の真似事をする、今宮純のような胡散臭い人物でも重宝せざるをえなかった時代はもう終わったのだ。

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